生保法の基本原理(2~4条)

(1)無差別平等の原理(2条)
 生保法2条は、すべての国民について、生保法の用件に満たす限り、「この法律による保護を、無差別平等に受ける事が出来る」と規定する。つまり、困窮の原因、人種、心情、性別、社会的身分などを理由として、保護の可否が決められたり、保護の金額が異なることはない。国民は、無差別平等に保護請求権を認められている。

(2)最低生活保障の原理(3条)
 生保法により保障される最低限度の生活は、「健康で文化的な生活水準を維持する」(3条)に足るものでなければならない。しかし、この水準はあまりにも抽象的であるため、国が最低限度の生活水準を金額で決定し、この水準に基づいて生保法が運用される。

(3)保護の補足性の原理(4条)
 生保法の保護は、「生活の困窮するものが、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用する事を用件として行われる」(4条)と規定されている。つまり、保護は、生活に困窮するものが生活を維持するために可能な限りあらゆる手段を尽くしても、最低限度の生活ができない場合に受けることができるのである。従って、保護を申請するものに対しては、資産、労働能力、社会保険の給付などの法律による手当てや貸付制度などがないかどうかの確認が行われ、さらに扶養義務者による不要が可能かどうかについて調査が行わなければならない。


小田桐 忍 著『社会福祉(改訂版)』2011年p144

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