子どもの叫び　小児心身症治療から

読了

一つ一つ小さな話がこの本には詰められている。
小さなエピソードは本来は現実の世界にあったもので、小さな出来事ではなかったのだろう。幾重にも重なり合うオーケストラのように重厚で感情的である種本質的な世界で。けれど、著者である生野照子さんと治療に来ていた子どもとその家族は日常であったに違いない。

どうしてこんな風に辛い日常になってしまったのか分からない不安と慟哭。けれど、決してなってしまった事件と状態を俯瞰することが出来ない家族。そして人間は、苦しみの最中に立たされる。

何故なら、どの家族も一生懸命生きているから。


今まで生きてこられた自分のやり方を曲げたら自分が死んでしまうのではないかという恐怖は、2001年代に生きている現代人は知らずして（　何か　）に取り憑かれている。この（　何か　）を悪霊と仮定したならば、成仏が出来るように僕は取り組まなければならない。