長々と書いたので、お好きな人はお読みください。



自分にとって青春小説とは感情を呼び起こすのに必要な体験。
ありきたりに書けば、自分ではない誰かになれることなのだけれど、自分はやはり自分のことが最大の関心ごとで、自分に関係する事柄が好きだ。

本をたくさん読んでいる人ではないけど、その中でこれはと思ったのは「僕は勉強ができない」だ。この作品は17歳の男子高校生が年上のお姉さんと熱愛をしながら、子どもと大人のそれぞれの論理や気持ち、そして女の性質やSexを痛烈に論破していくお話。

高校生がうっかり落としてしまったコンドームを教師が「何故持っているんだ!?」と詰め寄るところでは、高校生はどうして持っていてはいけないのかと始まり、僕は彼女が大切だからこれを使うんだ!高校生だって責任が取れないことを知っていると大人の論理を意図もたやすく論破していく様は痛感で、自分が大人達へこんな風に気持ちを言葉で主張が出来ていたらどんなに楽しかっただろうか、そういったことを思い浮かべた。

自分のお金が母親に取られた時、胸ぐらを掴んでぶっ殺すぞ!とか包丁を突きつけたりしたら、それはそれとして問題だけれど、気持ちの上でとても楽に生きられたのだろうとか青春小説には、思い出を想起させる力がある。

加えて主に青春小説の主人公は高校生や中学生で、自分はそれらの年齢を超えてしまったし、当時多感で良かったのに抑圧することでしか、社会や自分と関係すること、卑下することでしか、生きているという細やかな、得てもいないかもしれない、そう微々たるそれを護るしか生きられなかった。文句を言えば良かった、感じたいままに表現をしなかった。これらを取り戻そうと、決して取り戻すことは出来ないけれど、今この現実、今ここで自分を作り上げていくこれを体感したい。

ある種、そのためだけに青春小説。あるいは本を読んでいる。

コメント

ぷちぇこ
ぷちぇこ
2014年6月30日14:04

ぷちぇこです。


今は過ぎ去りし大事なお年頃を
登場人物と共に
追体験できるアイテムなのですね。


珍しいクローバーを見つけられちゃう能力と同じくらい、
ステキなセンスだと思いました。。。


saphir
2014年7月1日9:33

ぷちぇこさん

おお、確かにアイテムですね。
その言葉が出てこなくて長々書きましたけど、アイテムという響きは良いですね。
道具になると重くなってしまう点、軽やか

ぷちぇこ
ぷちぇこ
2014年7月1日23:13

ところで、気に入った本って、何回も読みますか?

saphir
2014年7月2日0:44

ぷちぇこさん

いいえ、読み返しません。
大抵1度読んだら本棚に並べて、ふとした時に本の背をみて内容を思い出します。
しかし、読み返したくなる本はあって、小説 神様のカルテシリーズと名著 夜と霧。あと2回は読むだろう、小説 若きウェルテルの悩みがあります。

神様のカルテは優しさの情動に溢れた作品で、登場人物達はみな優しい。
夜と霧は僕の口から語りません。前に感想のようなものを書いた気がしますが、あの時はよく分かっていなかったように思います。
ウェルテルは飛行機に乗ったとき、そして晩年に読もうと決めています。

ぷちぇこ
ぷちぇこ
2014年7月2日10:50

その時その時の自分によって、感想も変わってきますもんね。

本によっても、初読の印象がよかったら、
その感動はそのままとっておきたいと思う本と、
また違う自分で読んでみたい本とあるかも。

あと、原点に立ち返れる作用を持つ本もあるか。


なんて。
ながながとおじゃましました。