まだ暗い冬の早朝
僕は青いトラックを走らせる。都内各所にある会社から廃棄物を回収するために。

トラックを運転していて話し相手はいない。独り言やひとりでラジオから流れてくる名曲に声を合わせたりと、言葉や音が寂しさをなだめる。

過去のあの時あの場所でと、過去の出来事を一巡させてから、わずかに得られるかもしれない体験を想像する。それはもう、トラックの中からでられないんじゃないかっていう諦めともしかしたらと思う希望の均衡。ううん、ちょうどなんてものは見つけられない。

そうしたとき、ふと気がついてわずかに顎を上げる。
暗い空が蒼へ、瑠璃色へと変わっていく。首をかしげると瑠璃色からオレンジ色へと移り変わっていく。この景色を見ている人は、世界にたくさんいるのかもしれない。けれど、ここにいるのは紛れもなく一人で、この空を求めているのは僕なんだ。ここにいる僕なんだ。

街を起こす光は僕のためだけに降り注いでいる。

そう思っても罰はもらわないですよね。

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